モービルアンテナとは…
アンテナの性能を表すものさしに動作利得(ゲイン)というものがあります。
動作利得は数値が大きければ大きいほど高性能となりますが、この数値が大きくなるとアンテナの形状は大きくなるという性質をもっています。高速走行を行う自動車にあっては受風面積が問題となるため、むやみに動作利得を追求することは避けなければなりません。受風面積が小さく強度的にも優れた棒状のホイップアンテナがモービルアンテナの基本となっています。
良いアンテナとは…
モービルに在っては安全性が第一に配慮されなければならないので、形状と長さに厳しい制約が生じます。この制約の中で高性能、多機能化を実現し、なおかつ車のフォルムにマッチしたものが良いモービルアンテナといえるでしょう。
電波って何?
電磁波といえば電波はもちろん放射線や可視光線をも含む広い範囲を指しますが、電波法では300万 MHz(3000GHz)以下の周波数の電磁波を電波と定めています。現在通信手段として実用になっているのは100GHz程度までであり、アマチュア無線では1.3GHz以下の周波数がよく使われています。
アンテナの働き
トランシーバーの送信部で作られた高周波エネルギーは同軸ケーブルを通ってアンテナに送られますが、この段階ではまだ電波とは言いません。アンテナから空間に高周波エネルギーが放射されてはじめて電波となります。いかに効率よく高周波エネルギーを放射するかということは無線通信においてきわめて重要なことなのです。送受兼用で使用するアンテナでは、放射効率の善し悪しはそのまま受信効率になります。つまり、いかなるトランシーバーを使おうとも、電波が遠くまで届くかどうかはアンテナ次第だといえるでしょう。
無指向性と指向性の違い
アンテナの性能を表すものとして指向特性があります。指向特性はアンテナからどの方向に対してどれだけ電波が放射されるかを示すもので、大地を基準にして大地と平行な面の水平面特性と大地に垂直な面の垂直面特性があります。
水平面特性が円となるアンテナを無指向性アンテナといい、いずれの方角にも均等に電波が放射されます。これに対し、水平面特性を一方向に集中させたアンテナをビームアンテナ(指向性アンテナ)といいます。
無指向性アンテナにはグランドプレーン、ホイップなどがあり、ビームアンテナには八木アンテナなどがあります。
FB比とは?
八木アンテナの指向特性図にはフロント方向のメインローブと不要なスプリアスローブとがあります。スプリアスローブの中で最大のものが主ビームの反対方向に生じるバックローブです。フロント方向のメインローブを基準値0dBとし、どれくらいのバックローブがあるのかを示すのが、FB比(Front/Back)である。 -20dBのように表示され、マイナス数値が大きいほど良好な特性となるわけです。
dBとdBiの違いは?
dBは1/2波長ダイポールアンテナを基準とした利得表示で、正確にはdBdと表示します。dBiはすべての方向に均等に電波が放射される仮想アンテナを基準とした利得表示で、アイソトロピック比と呼ばれています。
両者の間には0dBd=2.14dBiという関係があります。dBiで表示すると数値が2.14大きくなるため、カタログ表示で多用されています。