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アンテナ・無線に関する豆知識

アースって何?

「アース」という言葉はよく耳にします。洗濯機をはじめとする家電品にはアース線がついていて、アースすべきことが取扱説明書などにも明記されています。しかしある時は「アース」と言ってみたり、はたまた「グランド」、「接地」などと言ってみたり、いろいろと表現があります。でも単に表現の違いだけなのでしょうか?実は表現だけでなく目的に応じてアースはまったく異なるものなのです。アース(接地)を目的別に大きく分けると、次の3つに分けることができます。
【1】保安用接地(感電防止や避雷・雷防護の為)
【2】大地帰路利用接地(接地型アンテナの為、信号帰路用)
【3】基準電位用接地(電子回路や電気信号の基準電位を定める為)
それぞれの目的で、アースのとりかたや工事方法が異なります。従ってアースについてよく理解した上で、目的に応じたとりかたや工事をしなければ効果がないばかりか、逆に事故の原因となりかねません。しかしすべての事柄を理解するのはたいへんですので、特にアマチュア無線を楽しむ上で知っておきたいアース(接地)の知識に絞ってご紹介することにしましょう。
※さらにアースに関する詳しいことをご理解いただくには、次の書籍等をお読みになることをお奨めいたします。

木島均著「接地と雷防護」電子情報通信学会ISBN4-88552-147-5
伊藤健一著「アースのはなし」日刊工業新聞社ISBN4-526-03229-8
小山弘樹「アパマン・ハムのためのアースの基礎知識」p52-55
CQ ham radio 別冊「ベランダ・アンテナ」
酒井洋著「誘導遮蔽の実際(上)(下)」
日刊工業新聞社 アースの工事の施工に関する事項については、電気工事実務に関する書籍を参照してください。
例えば越野一二著「電気工事実務マニュアル/作業編」オーム社 ISBN4-274-094044-6

避雷・雷防護用アースについて

■落雷の種類
毎年日本全国で落雷による被害が数多く伝えられています。落雷を防ぐことはできないのですが、その被害を最小限にすることはできます。その為に用いられるのが「避雷・雷防護用アース」です。アースについて考えて見る前に、まず落雷による障害、雷撃について整理してみることにしましょう。
■直撃雷
雷撃には直撃雷と誘導雷があります。直撃雷は言葉の通りで、建物や木などに落雷することで一般に10〜100kAもの電流が流れます。例えばアンテナに直撃雷を受けると、同軸ケーブルを通して非常に高いエネルギー(電荷)が接続されている無線機などに流れ込み、破壊してしまうのです。良く知られているように「雷は高いものに落ちやすい」という性質があり、また「先の細いものに落ちやすい」という性質も持ち合わせています。これらの性質を利用したのが「避雷針」であり、高さ20m以上の建物に設置することが法律で義務付けられています。でも避雷針にはどんどんと直撃雷が落ちて、雷を避けるのではなく積極的に落ちやすくしているので本当は「誘雷針」と呼んだ方が良いのかもしれません。
■誘導雷
「うちのアンテナより高い建物の屋上に避雷針が立っているから、落雷の心配はないよ」などという話を時々耳にします。でも本当にそれで安心していて良いのでしょうか?確かに、直撃雷はその避雷針に落ちてくれるかもしれません。しかし直撃雷が落ちる瞬間にその避雷針にはものすごい量の電流が流れます。多量の電流が流れるとその付近には非常に強い電磁界が生じ、電磁誘導現象により近くにある電話線や、電力線に高い電圧が発生します。これを誘導雷と呼びます。つまりアンテナに直撃雷を受けなくても、近くの避雷針や立ち木などに落雷すると誘導雷により、アンテナや同軸ケーブルに高い電圧が発生し、接続されている無線機を破損してしまうことがあります。現に直撃雷による被害よりも、誘導雷による被害の方が多く報告されています。また誘導雷は近くの避雷針や立ち木などへの落雷だけでなく、雷雲間での放電によっても生じることがあります。

■同軸避雷器とアース
アースの図1誘導雷による被害を防止する為に用いられるのが、同軸避雷器(SP1000、SP3000、SP3000W、その他)です。アンテナと無線機を結ぶ同軸ケーブルの中間に挿入し、誘導雷によりアンテナから侵入してくるサージ電流をアースを経由して大地へと流すことにより被害を防止、軽減するものです。この目的で用いるアースですが、多量の電荷を大地に流し込む為のもので基本的には直撃雷、誘導雷共に同じ工事方法となります。同軸避雷器のアースは、洗濯機などの感電防止用アースとは異なりますので注意してください。同軸避雷器のアースを、コンセントなどに付いているアース端子に接続すると、誘導雷による非常に高い電圧がアース回路を逆流し、家電品を破損させることになり兼ねませんの注意してください。


■避雷・雷防護用アースの工事
避雷・雷防護用のアースには、多量の電流、電荷を大地に流し込むものですから、他のアースとは独立して設ける必要があります。また接地抵抗を低くすると共に、土壌との接触面積を多くする必要がありアース棒でなく銅板等の接地板を土中に埋設します。
アースの図2

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